アレルギー性鼻炎と戦うあなたの味方!
プロバイオティクスとビタミンD

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皆さん、「プロバイオティクス」という言葉を聞いたことがありますか?いわゆる善玉菌のことです。
最近の研究で、花粉症などのアレルギー性鼻炎に対して効果があることがわかってきて、2024年の最新版の鼻アレルギー治療指針でも、推奨の治療法の一つとして載るようになりました。今回はアレルギーに効果のあることがわかっているビタミンDとの関係やプロバイオティクスとビタミンDを効率的に摂取する方法などをお伝えいたします。ぜひ最後までお付き合いください。

プロバイオティクスってなに?

  • プロバイオティクスは、腸内フローラ(腸内細菌叢)を改善し、健康によい影響を与える「善玉菌」のことです。乳酸菌やビフィズス菌が代表的で、主に腸に住んでいます。これらの菌は、消化を助けたり、免疫機能をサポートしたりと、私たちの健康を様々な面で支えてくれます。主に発酵食品やサプリメントから摂ることができます。

代表的なプロバイオティクス菌種

  • ラクトバチルス・パラカゼイ
  • 免疫機能をサポートし、アレルギー症状を和らげる効果が期待されています。
  • ラクトバチルス・アシドフィルス
  • 腸内環境を整えるとともに、免疫力を高めて、アレルギーを和らげるのに役立ちます。
  • ビフィドバクテリウム・ロングム
  • 腸内の善玉菌を増やし、アレルギー反応を抑える働きがあります。
  • ビフィドバクテリウム・ブレーベ
  • 特にアレルギー反応を抑える効果が期待され、免疫力を強化します。
  • ラクトバチルス・ラムノサス GG
  • 免疫のバランスを整えるのに優れ、アレルギー症状を和らげるのに役立つとされています。
  • ラクトバチルス・ガセリ
  • 腸内フローラを改善し、免疫機能を高める効果が期待されます。
  • ラクトバチルス・プランタルム
  • 発酵食品に含まれる乳酸菌の一種で、腸内環境を整えたり、抗酸化作用があったりすることが期待されます。

プロバイオティクスを含む食品の例

日本でなじみのある食品では、ヨーグルト、キムチ、味噌、納豆などが挙げられます。

プロバイオティクスの効果は?

プロバイオティクスは、腸内の健康に大きな影響を与え、体の様々な機能をサポートします。具体的な効果を見ていきましょう。

  • 腸内環境の改善 プロバイオティクスは、腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌の増殖を抑えることで、腸内環境を整えます。これにより、消化吸収がスムーズになり、便秘や下痢などの腸の不調が改善されます。
  • 免疫機能の強化 腸には多くの免疫細胞が集まっています。プロバイオティクスは、これらの免疫細胞の働きを調整し、体の中に入ってくる病原体に対する防御力を高めます。
  • 抗炎症作用 プロバイオティクスには、炎症を抑える効果があります。腸内だけでなく、体全体の炎症反応を和らげる働きが期待されています。これにより、慢性の炎症性の病気の予防にもつながります。
  • アレルギー症状の軽減 免疫システムが過剰に反応することで起こるアレルギー反応を抑えることができるため、アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患に効果が期待されています。
  • 精神的ストレスの軽減 腸と脳は「腸脳相関」と呼ばれる密接な関係があります。腸内環境が良くなることで、ストレスが減ったり、うつ症状が和らいだりすることが報告されています。

プロバイオティクスがアレルギー性鼻炎の治療指針にのった理由は?

  • 最近、プロバイオティクスの効果に関する研究が進んできて、その結果が反映されて、2024年の最新版の鼻アレルギー治療指針に、プロバイオティクスが初めて載り、おすすめの治療法の一つとなったのです。これは、プロバイオティクスがアレルギー性鼻炎の症状を和らげるという証拠が集まってきたことを示しています。特に、腸内環境を整えることで、免疫のバランスを整える効果が評価されました。

ビタミンDとアレルギー性鼻炎の関係は?

ビタミンDは、脂溶性のビタミンで、骨を丈夫にするだけでなく、免疫機能を調節したり、腸内フローラの健康を保ったりする働きもあります。ビタミンDは、腸内の善玉菌を増やすのに重要な役割を果たしています。

ビタミンDの主な効果

  • 1.
  • 腸内フローラのバランスを整えて、免疫の過剰な反応を抑えます。
  • 2.
  • 腸の粘膜のバリア機能を強くして、腸の健康を守ります。
  • 3.
  • 炎症反応を抑えて、腸内環境を安定させます。

プロバイオティクスとビタミンDは、アレルギー性鼻炎にどう効くの?

プロバイオティクスとビタミンDは、お互いに協力してアレルギー性鼻炎の症状を和らげます。

  • 免疫のバランスを整える

    プロバイオティクスとビタミンDは、どちらも免疫システムに働きかけて、バランスを整える効果があります。プロバイオティクスは腸内環境を整えることで、免疫の過剰な反応を抑え、アレルギー性鼻炎の症状を和らげます。ビタミンDは、免疫細胞に直接作用して、炎症を引き起こす物質の産生を抑え、アレルギー反応を和らげます。

  • 腸内環境を整える

    腸内環境は、体全体の免疫機能に影響を与えます。プロバイオティクスが腸内フローラを改善することで、腸内の免疫のバランスが保たれ、体全体のアレルギー反応が抑えられます。ビタミンDは、腸内の善玉菌を増やすことで、このプロセスを助けます。

  • 炎症を抑える

    プロバイオティクスとビタミンDを組み合わせることで、腸内の炎症を抑え、体全体の炎症反応を減らすことができます。これにより、アレルギー性鼻炎の症状を和らげる効果が期待できます。腸内の炎症が抑えられることで、鼻の中の炎症も和らぎ、鼻づまりやくしゃみなどの症状が軽くなります。

ビタミンDの上手な取り方は?

ビタミンDには、活性型と非活性型があります。骨粗しょう症の治療には活性型が向いていますが、アレルギー対策には非活性型がおすすめです。処方薬のビタミンDは活性型で、副作用もあるので、アレルギー対策には適していません。ビタミンDは、アレルギー性鼻炎の症状を和らげるのに重要な役割を果たしますが、効率的な摂取方法を知っておくことが大切です。ビタミンDは、主に食事と日光浴から摂ることができますが、現代の生活環境や食生活では、十分な量を確保するのが難しいことがあります。そのため、サプリメントで補うのが非常に効果的な方法となります。

  • 食事からの摂取 サケ、サバ、マグロなどの魚、卵黄、キノコ、ビタミンDを強化した牛乳やシリアルなどにビタミンDが含まれています。しかし、食事だけで必要量を摂るのは難しいかもしれません。
  • 日光浴 ビタミンDは、紫外線B(UVB)を浴びることで皮膚で作られます。1日15~30分の日光浴が理想的ですが、季節や地域によっては十分な量を作るのが難しいこともあります。そもそも、現代人は忙しく、職種によっては、通勤の短い時間しか日光を浴びられなかったり、在宅ワークで全く外に出る機会がなかったりする人もいます。日光浴だけで十分なビタミンDを摂るのは、現実的には難しいと言えます。
  • サプリメント 食事から摂れるビタミンDの量はわずかで、十分とは言えません。不足しがちなビタミンDを補うには、食事と日光浴に加えて、サプリメントで補うのがおすすめです。

プロバイオティクスとビタミンDのおすすめ摂取法は?

  • 食事だけでは充分な量の摂取は難しいので、サプリメントの服用をおすすめします。現在、当院では製薬会社と協力して、医療用サプリの開発を進めております。お手元にお届けできるようになるまで、もう少しお待ちいただければ幸いです。

まとめ

プロバイオティクスとビタミンDは、アレルギー性鼻炎に対して、お互いに助け合う効果を発揮します。プロバイオティクスは腸内フローラを改善し、免疫のバランスを整えることで、アレルギー症状を和らげます。ビタミンDは、腸内環境を整えることで、プロバイオティクスの効果を助け、さらに炎症を抑えることで症状の改善に役立ちます。2024年の最新版の鼻アレルギー治療指針でも、プロバイオティクスの効果が認められ、おすすめの治療法の一部として載るようになりました。食事やサプリメントで、この2つを毎日摂ることで、アレルギー症状を和らげ、健康な体を目指すことができます。免疫のバランスを整え、炎症を抑えることで、アレルギーに負けない健康な体を手に入れましょう。なお、効果の出方は人それぞれで、アレルギー性鼻炎が必ずよくなる、と言い切れるものではありません。従来の治療に加えての選択肢と考えていただけるとよいと思います。


ご質問やご要望などありましたら、気軽にご相談ください。

参考文献
・The Efficacy and Safety of Probiotics for Allergic Rhinitis: A Systematic Review and Meta-Analysis(Luo C, Peng S, Li M, Ao X, Liu Z. Front. Immunol., 19 May 2022)
・Vitamin D and allergic diseases(Panyu Zhang,gxiu Xu,Rongfei Zhu Front. Immunol., 04 July 2024)
・鼻アレルギー診療ガイドライン(2024年版 改訂第10版)
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